どう変わる? 成年後見制度
どう変わる? 成年後見制度
— 使いたい時だけ利用できるようになる? 地域で支える新しいしくみとは? —
2022年12月25日(日) さがみ農協協同組合茅ヶ崎ビルにて行われた
成年後見制度の研修の報告です
基 調 講 演 又村あおい氏(全国手をつなぐ育成会連合事務局長)
トークセッション 又村あおい氏&関哉直人(弁護士)
主 催 一般社団法人 全国権利擁護支部ネットワーク

前回、夏にまた村あおいさんの研修を受けてから
はや半年・・・年末は恒例の茅ヶ崎での研修です。
今回はスピード感を持って箇条書きで報告いたします。
1. 成年後見制度って何ですか?
「判断能力が不十分」な方に、本人に代わって法的に権限が
与えられた成年後見人が本人を保護し、支援する制度
「判断能力が不十分とは?」
知的障害、発達障害、認知症のある人が法律行為をする
場合に行為の結果の判断ができない状態・・・
成年後見制度には三つの類型があります。
コンビニでの買い物の例がわかりやすいです。
・後見=判断能力がない方
・・・・一人でコンビニエンスストアへ出向いてお買い物ができない方
お金のコンセプトがわからない方
・保佐=判断能力が不十分な方
・・・一人でコンビニでお買い物はできるけれど、お釣りがわからない。
多額の財産管理がや契約が困難な方
・補助=判断能力が不安な方
・・・コンビニで買い物してお釣りがいくら返ってくるかわかり、
大まかにお金の管理はできるものの、
多額の財産管理や複雑な契約は支援が必要
誰が成年後見人になるか
・親族・・・◯コストはかからない、身上保護が期待できる。
❌「公私混同」しがちで親亡き後の不安がある。
・第三者・・・❌コストがかかるが、
◯法律、福祉の専門的なサポートが期待できる(ちょっと不安!)
成年後見の支援の範囲について・・・
なんと、はっきりどこまでやるかというメニューはありません。
財産管理は確実にやると思いますが、
問題なのはご本人の意思を尊重したきめ細かい身上保護は
こちらから「何をして欲しいか」というオーダーを出すべきというのが現状です。
2. 成年後見制度の現状
利用されている方は非常に少ない。
64%の方は認知症の方(高齢者)
知的障害の方の利用は9%ほど・・・
利用が進まない理由としては
法律上、申請をしたら後戻りができないこと、
加えて、コストがかかると考えられるから・・
現状では「親」が本人の契約をし、金銭管理をしているケースが多い。
法律的には合法と違法のスレスレでグレーゾーンということ。
又村さんのおっしゃっている「グレーにも濃さがあって、
本人の年金を何万円も食費と称して家計に
くり入れている限りなくブラックに近い例もある」
という話は、むむむと考えさせられました。
3. 成年後見制度の主な課題
全国育成会連合で実施したアンケートをもとに・・・
このアンケートは知的障害のあるご家族の回答が1386件あり、
かなり正確に現状を反映していると考えられます。
(ただ、育成会に加入している「意識の高い」ご家族の回答ということを頭に入れて)
●成年後見制度について知っているか?
------------ 83%の人が知っている。
●実際に使っているか?
------------- 11%の方が利用していて、家族が後見人になっているケースが70%
専門職は14% 法人後見が7%
●使っている、使っていないに関わらず後見制度についての困っていることは-----------
50%の人が途中でやめることができないと答えています。
そのほかには、
・財産管理のみで身上保護をしてもらえない。
・福祉と連携していない。報酬が高いと続いています。
●また、家裁に対しての疑問、不満が多数あった。
●後見制度を使っていない理由は
1位 親が元気
2位 兄弟がいるから
3位 制度についてよくない評判を聞く、報酬が払えるか心配 が続きます。
●報酬について
月に1万円以下、2万円以下が妥当とする答えが過半数を超え、
公的負担を求める意見も多数ありました。
成年後見制度の認知度は高く、「知らない」より、
「一度申請したら後戻りできない」という柔軟性に乏しい制度
ということが利用の妨げになっているようです。
また、本人の意思を尊重する意識がない後見人の資質の低さも課題です。
●使える制度にするには
・身上保護に本人の意思や状況を継続的に把握して親族、福祉、医療、地域がチームで
対応する仕組みが必要。
・報酬が高いことが抜本的に改善されること。
・制度利用に際して個別性に配慮した相談窓口が必要
●成年後見以外の支援の利用
成年後見だけが絶対の制度ではないという視点から・・・
・社協・日常生活自立支援事業を利用する
では、今後期待されている法人後見については・・・
・理事長のハンコでいかようにでもできるおそれ(利益相反のリスク)
・社会福祉法人に取り組みを進める体力があるのか?
今後に期待・・・
・年金収入だけで身上保護が期待できる法人の成年後見人が可能?
・地域生活移行が進むのでは?
基本の考え方は成年後見制度を利用する人ごとに
「後見監督人」を付けることが必要だか、
また、監督人にも報酬を支払う必要が出てくるので
法人全体を監督する仕組みが必要である。
4.ついに成年後見制度の抜本見直し検討が開始!!
あまりにもボリュームがあって力尽きました・・
次回は具体的にどのように変わるか(変わってほしいか)
弁護士の関哉先生のトークもご報告します。

研修の日はクリスマス
にもかかわず
非常に多くの参加者が集まりました。
それだけ関心が高いトピックと思います。